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国際税務のやりがいを
知ってもらいたい

   

CaN International税理士法人に所属し、日本企業の海外進出や国際税務に係るコンサルティング業務を数多く手がけている山岡さん。今回は、担当されている業務とそのやりがいについて語っていただきました。

  • 山岡 靖

    CaN International 税理士法人
    ディレクター

  • 国際税務のやりがいを知ってもらいたい国際税務のやりがいを知ってもらいたい

現在のメイン業務を教えてください

  • 私は国際税務業務を担当しています。国際税務と一言で言っても、お客様の課題によってサービス内容は多岐に渡ります。具体的には、日系企業の海外事業展開に係るフィージビリティスタディ(以下、FS)における税務面でのサポートや、海外子会社との取引に係る移転価格税制等の検討、低税率国を利用したタックスプランニングや海外で組織再編を行う際の税務上の検討、海外駐在員の個人所得税に関しての問い合わせの対応など様々です。また、クロスボーダーM&AではCaN International FAS株式会社、各国の提携先ファームと連携して税務デューデリジェンスを担当しています。

海外進出フェーズでのFSの問い合わせについて具体的な業務内容を教えてください

  • 海外事業において想定される税務上の課題を洗い出し、それぞれの課題への対応策の提示、さらには複数スキームの比較分析などを行うことが一般的です。そのためにはお客様が計画している事業内容を正確に理解することが不可欠だと考え、常にその点を意識して業務にあたっています。進出前に事業スキームを入念に検討することが、将来の税務リスクの低減にも繋がるため、気が抜けません。
    過去に、お客様がスマートフォンのゲームアプリ事業をシンガポールで展開する際の、レベニューシェアスキーム、販売代理スキーム、コストシェアリングスキームを採用した場合における各スキームに係る税務上の取扱いを検討したことがあります。この事例では、各スキームのメリット・デメリットを定量化することによって、お客様にとって納得できるスキームを選択していただき、大変感謝されたことを覚えています。
    また、進出予定国の基本的な税制や留意点を理解しておきたいという依頼も多くいただきますね。日本と海外では税制の考え方や取扱いが異なることが多くあります。たとえばタイでは源泉税や付加価値税(VAT)の申告を月次で行う必要があり、加えて申告期限がタイトです。また、源泉税の対象となる取引は多岐にわたり、VATは税額票(タックスインボイス)方式を採用しているなど、日本の税制とは大きく異なります。
    なお、現地税制については提携先の現地専門家と連携して対応しています。CaN Internationalのカバー地域は広範におよび、これまで50ヵ国・地域を超える支援実績があります。

進出後の国際税務に係る問い合わせには、どのようなものがありますか?

  • グループ内の組織再編に係る税務上のメリット・デメリットの検討などの相談をいただくことが多いです。たとえば、海外子会社の組織再編を検討する場合、事業譲渡、株式譲渡、合併などいくつかの方法が考えられますが、各選択肢における税務上のメリット・デメリットの比較分析を行い、リスクを最小にしながらメリットを最大限享受できるスキームを選定することが重要です。その際、地域統括拠点の設立などが絡む場合には、日本を含む各国の税制に加えて、租税条約や優遇税制の適用といった観点からの検討も必要になります。
    また、移転価格税制に関する問い合わせもいただきます。検討にあたっては、グループの基本情報や関係会社間取引の内容についての情報収集を行い、バリューチェーン全体のなかで各関係会社が果たしている機能、負担しているリスクの分析などを行います。簡易的な分析を行うこともあれば、外部データベースを利用して比較対象会社の利益率レンジを算定することもあり、お客様の要望に応じて柔軟に対応しています。米国から現地サプリメントを日本でインターネット販売しているお客様の日米関係会社間における業務委託手数料率を移転価格税制の観点から検討した際には、分析の結果、使用していた委託手数料率が経済的実態に即した水準でないことが発覚し、複数の対応策を提案させていただきました。
    その他、海外駐在員や海外出張者の給与や現地および日本での個人所得税に係る問い合わせも多くいただきます。

会計士や他のコンサルタントと一緒に業務をすることはありますか?

  • はい、頻繁にあります。FSに係る業務のなかで事業計画の定量化までサポートさせていただく場合は、税務の観点のみでなく、事業面に関して計数的な観点からも検討が必要になるため会計士や他のコンサルタントと協力することも多いです。
    会計士は英語力が高い人材が多く、また監査法人勤務によって海外ファームとのインストラクション対応といった海外専門家とのコミュニケーションにも慣れているため、海外とのコミュニケーションに関しても協力してもらっています。

執筆やセミナーなどマーケティング活動にも関与するようですね?

  • はい、2ヶ月に一度発行しているニュースレター作成の他、「経理情報」、「銀行法務」などの専門誌への寄稿、商工中金が発行している各国の「投資ガイド」の執筆を担当することがあります。CaN Internationalが過去に出版した書籍である「東南アジア進出戦略」、「アジア進出企業の会計・税務」も一部担当しました。こういった執筆業務が同業他社と比較して多いのもCaN Internationalの特徴です。
    また、セミナーは基本的に主催者からお声がかかることが多いのですが、他社とイベントを共催することもあります。主・共催者は他の会計・法務プロフェッショナルファーム、海外事業に関連した独立行政法人、公益財団法人、新聞社、上場会社など様々です。セミナーの内容は、国際税務、海外における管理業務、各国の税制の概況などが多いです。セミナーの依頼は多いため、入社してから1年程度のコンサルタントにも積極的にセミナー講師として活躍してもらっています。人に教えることで、改めて知識を整理できたり、深めたりすることできるので、おすすめですよ。個人的には税務セミナーを分担できる専門家の入社をお待ちしています(笑)。

仕事のやりがいを教えてください

  • お客様が本業に注力できるように、“参謀”としてお役に立つことが私のやりがいです。お客様の事業内容・計画を理解した上で、税制の知識に加え、実務面の取扱いやこれまでの経験を踏まえた納得感のあるアドバイスを提供できたときには、私自身も喜びを感じますし、同時にお客様にも喜んでいただくことができます。
    国際税務の分野は参照しなければならない各国の税制や条約などが多岐にわたるうえ、特に新興国の税務執行は不明瞭なことが多く、国内税務とは勝手が大きく異なります。近年ではインターネットでも現地税務や国際税務に係る情報をある程度入手できますが、情報が古かったり、不正確であったり、ひとつの事項に対して情報源によって異なる見解が掲載されていたりと、判断に困難が伴うことが多いのも事実です。そのため、この領域の専門家のニーズが無くなることはありません。どこまで行っても終わりのない世界で、常に自己の専門性を磨きながら、自己の成長とともに価値提供していけることは、非常に面白く、自分の性分に合っていると感じます。

最後に、これからCaNに入社を検討している方に一言メッセージを

  • これまで国内会計、税務の経験を積んできた方には、是非、国際分野にチャレンジしてもらいたいですし、すでに国際税務の経験がある方にも、CaN Internationalの海外拠点、海外提携先のネットワークを活用したさらなる活躍の場を提供できると思いますので、是非CaN Internationalにジョインしていただき、一緒に働きましょう!